2009-06-16(Tue)
『ずっと人だかりの中心にいて疲れたでしょう。温室の裏のベンチ、いまほとんど人がいませんから、少し休んできたらどうですか?』
花火のおかげで取り巻いていた人々の群れから抜け出すことができたニコフは、仲間の中で今日唯一出逢えた王ドラの言葉を受けて、温室までやってきていた。
(静かだ……)
王ドラの言ったとおり、ほとんど人の気配が無い。ベンチに座って辺りをうかがうと、時折頭上で響く轟音とそれに伴って遠くで響く歓声が、より静けさを際立たせていた。
(疲れたな)
長い間続けてきた「スーパーウルフマンシリーズ」だが、こんなに人気が出ることになるとは、始まった当初は思いもよらなかった。ほとんど名も知られていないドラマシリーズになぜ映画化の話が持ち上がったのかはいまだに謎だが、ここまで人気が出るとは誰も思っていなかっただろう。
いまやニコフはいろんなメディアに引っ張りだこだ。ドラマの新シリーズや映画の続編以外にも、ラジオやらトーク番組やら、サイン会や地方公演なんてものまである。一過性のものだとはわかっていても、あまりにめまぐるしく毎日が過ぎていって、心身ともども疲弊しきっていた。それでも、今日スケジュールを押してここにきたのは……
「会いたいな……」
おもわず、声に出してつぶやいていた。
会いたい、彼に会うために今日ここにきたといっても過言ではないくらいだ。もちろん、ほかのみんなとも会いたいとおもっているけれど。
彼は今日も遅刻してきていた。昔と変わらない光景に心がほぐれた。けれど、まだ話すらしていない。彼が教室に駆け込んできた後に、一瞬目があっただけで。
また花火が鳴った。
いったい何発あるのだろうか。上を向くと、ちょうど花が開いたところで、まばゆい閃光におもわず目がくらむ。
(まぶしい)
そう思った瞬間、光がさえぎられる。
光源を絶った影は人の形をしていた。顔を向けると、その元となった人物はこちらにはにかんだ笑顔をむけさらにもう一歩近づく。
「よう、ひさしぶり」
ニコフは思わず目を瞬かせる。
ベンチのすぐそばに、ドラ・ザ・キッドが立っていた。
花火のおかげで取り巻いていた人々の群れから抜け出すことができたニコフは、仲間の中で今日唯一出逢えた王ドラの言葉を受けて、温室までやってきていた。
(静かだ……)
王ドラの言ったとおり、ほとんど人の気配が無い。ベンチに座って辺りをうかがうと、時折頭上で響く轟音とそれに伴って遠くで響く歓声が、より静けさを際立たせていた。
(疲れたな)
長い間続けてきた「スーパーウルフマンシリーズ」だが、こんなに人気が出ることになるとは、始まった当初は思いもよらなかった。ほとんど名も知られていないドラマシリーズになぜ映画化の話が持ち上がったのかはいまだに謎だが、ここまで人気が出るとは誰も思っていなかっただろう。
いまやニコフはいろんなメディアに引っ張りだこだ。ドラマの新シリーズや映画の続編以外にも、ラジオやらトーク番組やら、サイン会や地方公演なんてものまである。一過性のものだとはわかっていても、あまりにめまぐるしく毎日が過ぎていって、心身ともども疲弊しきっていた。それでも、今日スケジュールを押してここにきたのは……
「会いたいな……」
おもわず、声に出してつぶやいていた。
会いたい、彼に会うために今日ここにきたといっても過言ではないくらいだ。もちろん、ほかのみんなとも会いたいとおもっているけれど。
彼は今日も遅刻してきていた。昔と変わらない光景に心がほぐれた。けれど、まだ話すらしていない。彼が教室に駆け込んできた後に、一瞬目があっただけで。
また花火が鳴った。
いったい何発あるのだろうか。上を向くと、ちょうど花が開いたところで、まばゆい閃光におもわず目がくらむ。
(まぶしい)
そう思った瞬間、光がさえぎられる。
光源を絶った影は人の形をしていた。顔を向けると、その元となった人物はこちらにはにかんだ笑顔をむけさらにもう一歩近づく。
「よう、ひさしぶり」
ニコフは思わず目を瞬かせる。
ベンチのすぐそばに、ドラ・ザ・キッドが立っていた。







